イタリアワインで、世界に最も名が知られているといわれている「キャンティ」。
キャンティの産地は広範囲にわたり、7つのサブゾーンが存在します。
サブゾーンのうちのひとつキャンティ・ルフィナに、畑にフォーカスしたブランド「Terraelectae」が誕生しました。
各生産者の該当するワインのエチケットに記載される「Terraelectae」ですが、いったい何かをご紹介します。
キャンティとは
そもそもキャンティとは、イタリア・トスカーナ州のアレッツォ県、フィレンツェ県、シエナ県、ピサ県、ピストイア県で造られている赤ワインです。
生産範囲が広いため、サブゾーンがあります。
- キャンティ・コッリ・アレティーニ
- キャンティ・コッリ・フィオレンティーニ
- キャンティ・コッリ・セネージ
- キャンティ・コッリ・ピサーネ
- キャンティ・モンタルバーノ
- キャンティ・モンテスペトリ
- キャンティ・ルフィナ
キャンティのブドウ品種は、サンジョヴェーゼが70%~100%と定められています。
ブレンドする場合は、トスカーナで栽培されたブドウを使用しなければなりません。
白ブドウの使用は10%までとなっています。
カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンは、単独または合計で15%までの使用となっています。
また、「リゼルヴァ」のカテゴリーがあり、通常のキャンティの熟成期間は1年、リゼルヴァの熟成期間は2年と定められています。
ゾーンや区画にフォーカスしたワイン造り
イタリアでは、ゾーンや区画をエチケットに記載するワイン法整備が進んでいます。
DOCG(統制保証原産地呼称)に加え、ゾーンや区画をエチケットに追記されることにより、テロワールによるアイデンティティが強化され、消費者にとってもわかりやすいという利点があります。
バローロではすでに2010年ヴィンテージから「追加地理言及(MGA(Menzioni Geografiche Aggiuntive))」が記載できるようになっています。
今年は、キャンティ・クラシコでも、「追加地理単位(Unità GeograficheAggiuntive)」が記載できることになると発表されました。
キャンティ・ルフィナの「Terraelectae」とは
キャンティのサブゾーンであるキャンティ・ルフィナは、畑に限定されたブランド「Terraelectae」を発表しました。
「Terraelectae」は、キャンティの法(規則)に盛り込まれたわけではないですが、キャンティ・ルフィナ内のブランドとして、誕生しました。
「Terraelectae」は、キャンティ・ルフィナの単一畑で造られ、より畑にフォーカスしたワインです。サンジョヴェーゼ100%で、熟成期間も長く、ルフィナの可能性を最大限にひきだしたワインといえます。
このブランドに賛同する生産者は、条件にあてはまるワインのエチケットに「Terraelectae」と記載します。
- キャンティ・ルフィナDOCGの生産ゾーン内で造られたワイン
- サンジョヴェーゼ100%
- 「Vigna(ヴィーニャ(畑))」または「Vigneto(ヴィニェート(畑))」を記載すること
- リゼルヴァのカテゴリー
- 30か月以上の熟成で、そのうちの18か月は木樽熟成。ボトル熟成は最低6か月
現在、「Terraelectae」に賛同している生産者は9社です。
- コロニョレ
- ファットリア・ラヴァッキオ
- カステッロ・ニポッツァーノ(フレスコバルディ)
- カステッロ・デル・トレッビオ
- トラヴィニョーリ
- イ・ヴェローニ
- マルケージ・ゴンディ(テヌータ・ボッシ)
- フラスコレ
今年は、「Terraelectae」のプレゼンテーションやセミナーが複数おこなわれました。
まとめ
キャンティ・ルフィナのゾーンは、標高の高いところに位置するため、美しい酸のあるエレガントなワインができ、長熟のワインだと定評があります。
単一畑の「Terraelectae」は、キャンティ・ルフィナの原産地にこだわった折り紙付きワインといえます。
キャンティ・ルフィナのワインは年間300万本以上生産されていて、「Terraelectae」はそのうちの5万5000本。生産量は少ないですが、「Terraelectae」は間違いなくキャンティ・ルフィナの最高峰のワインです。