プロセッコを求めて世界遺産の丘への旅(コネリアーノ編)

プロセッコを求めて世界遺産の丘への旅(コネリアーノ編)

イタリアのスパークリングワイン、プロセッコを求めてヴェネト州のヴァルドッビアーデネとコネリアーノへ行ってきたときの旅行記、コネリアーノ編をお届けします。

(ヴァルドッビアーデネ編はこちらから)

コネリアーノとは

コネリアーノは、世界遺産「コネリアーノとヴァルドッビアーデネのプロセッコ栽培丘陵群」に登録された丘陵のある地で、プロセッコ・スペリオーレ・ヴァルドッビアーデネDOCGの産地です。

ヴァルドッビアーデネもそうなのですが、コネリアーノもヴェネツィアやトレヴィーゾ側から行くと、ピアーヴェ川を渡ることになります。

ピアーヴェ川
ピアーヴェ川

ピアーヴェ川は、イタリア人にとって、歴史的にとても重要な川。第一次世界大戦中の「ピアーヴェ川の戦い」で戦場になった場所だからです。

ピアーヴェ川にかかる橋には、イタリアの国旗が掲げられていました。

ピアーヴェ川の橋
橋に沿って並んでいるイタリア国旗

ピアーヴェ川を渡ってコネリアーノに向かった目的地は、ワイナリーです。

コネリアーノのワイナリー ボルゴルーチェ

コネリアーノでは、紹介してもらったワイナリー、ボルゴルーチェを訪問しました。

紹介してくれたのは、キャンティのワイナリー、コローニョレのオーナー。なんといとこがワイナリーを所有しているというので、そこに行くことになりました。

コローニョレのオーナーは貴族なのですが、いとこも貴族。「貴族は親戚が多く、いろんなところで土地とパワーを持っているのだなー」と一般市民の私はただただ感心してしまいました。

(なぜコローニョレのオーナーとつながりがあるかというと、私はコローニョレのワイナリーツアーをやっているため、ときどきオーナーに会うからです。コローニョレのワイナリーツアーはこちらから

ボルゴルーチェは、2008年に誕生した新しいワイナリーです。ファミリーの遺産だった土地でワイナリーを作ったそうです。その土地なんと1000ヘクタール。
青果物や穀物の生産、家畜の飼育をおこなう大きな農園になっています。ワインのほかに生産しているものは、オリーブオイル、ハチミツ、卵、肉、乳製品、チーズ、サラミ、パスタ、ビールなど。農園内の廃棄物を再利用して、発電もおこなっているサスティナブルな農園だそう。すごい規模です。

ボルゴルーチェ
セラーの入口

敷地内には、レストラン、宿泊施設もあります。

セラーとレストランがある建物は、カントリースタイルながらもモダンでオシャレ。

レストラン
自然光たっぷりの明るい店内のレストラン

早速、ワイナリー見学のスタートです。

プロセッコを醸造するためのステンレスタンクは巨大なため、大きな建物が必要になります。

コネリアーノでは、高さの高い建物は景観を害するという理由で建設が禁止されています。

したがって、高い建物を建てることができず、地下にセラーを作ったそうです。

地下に作られたセラー
地下に作られたセラー

ピアーヴェ川周辺は、戦争の傷跡が残っている地域で、セラーを作るために地面を掘った際に、14個の地雷が見つかったそうです。

地下のセラーには、ステンレスタンクがいくつも並んでいました。

地下セラーのタンク
地下のセラー

プロセッコ用の巨大タンク、これが見たかったのです!

巨大なタンクは、アルコール発酵用。

巨大なタンク
アルコール発酵用の巨大タンク

アルコール発酵用のタンクより、小さいのが二次発酵用のタンク。

プロセッコのタンク
二次発酵用のタンク

プロセッコは、最後の過程で澱抜きをして、加糖されます。

ボルゴルーチェでは、澱抜きせずに(シュールリー)加糖しないタイプのプロセッコも生産しています。

瓶内に残った澱が瓶内にいきわたるよう、瓶を手で振っていました。こんなに機械化されている施設内で、手作業で瓶を振っているのにはちょっとびっくり。

シュールリーの手作業
手作業で瓶を振っているスタッフ

見学のあとは、緑の見えるテラスで試飲。

こんな開放的なところで試飲ができるなんて、気持ち良すぎです。

遠くに見えるお城も所有のものだそう。

プロセッコの試飲

試飲したのは、シュールリーのプロセッコ・スペリオーレ・ヴァルドッビアーデネDOCG、メインの生産のプロセッコ・スペリオーレ・ヴァルドッビアーデネDOCGブリュット(辛口)、畑が限定されているプロセッコ・スペリオーレ・ヴァルドッビアーデネDOCGエキストラ・ドライ(中辛口)。

シュールリーのプロセッコは、パンやミルクやナッツのようなニュアンスが感じられ、旨味のある味わい。プロセッコの特徴であるフルーティーな味わいとは少し異なるので、好みがわかれるかもしれません。個人的には好きでした!

プロセッコ・スペリオーレ・ヴァルドッビアーデネDOCGブリュットは、柑橘系の果実や野生の小さな花を思わせる香りで、さわやかで心地よい味わい。「フルーティーでフローラルで飲みやすい」というだけではない、洗練された泡立ち味わいで、とっても心地いい。

プロセッコ・スペリオーレ・ヴァルドッビアーデネDOCGエキストラ・ドライは、華やかで深みのある味わい。あまやかな口当たりで、食事だけでなく、デリケートな甘さのスイーツとのペアリングもよさそう。

プロセッコの試飲
試飲した3種類のプロセッコ

青空と緑とお城を眺めながらのプロセッコの試飲は最高で、よりおいしく感じられました。

試飲を満喫したあと、敷地内のブドウ畑を見に行きました。

プロセッコの畑
広大で美しいブドウ畑。ブドウの木の列の間の土も青々としています

ブドウ畑を見たあとは、併設のレストランでランチ。

日替わりのサラダをいただきました。

コネリアーノでランチ

スモークトラウトたっぷり、フレッシュチーズたっぷり、自家製野菜たっぷりのサラダで、これだけでおなかがいっぱいになるボリューム。野菜は新鮮そのもので、自家製ならではのおいしさでした。

スモークトラウトのカラーに合わせてロゼのスパークリングをペアリング。ナチュラルさたっぷりのサラダと花の香りいっぱいのロゼの味わいがぴったりで、幸せ度アップでした。

コネリアーノの丘とドゥオモ

ランチのあとは、コネリアーノの丘と、村の中心地にあるドゥオモを見に行きました。

コネリアーノの丘では、なだからな丘陵地帯にブドウ畑が広がっていました。

コネリアーノの丘

本当ならもっと絶景スポットがあるのでしょうが、初めて行く場所で土地勘もなく、さまよいながら辿り着いた丘の上。
絶景スポットではないといっても、このあたりは世界遺産ですから、美しい。いきいきとした緑が、雄大な景色をさらに雄大にしてくれました。
(手前味噌ですが、ワイナリーツアーでは絶景スポットに連れていってあげるため、ツーリストにとってはありがたいサービスなのではないかなと思いました)

丘の眺めを満喫したら、丘からおりて、村の中心地へ向かいました。

ドゥオモというと、広場や目立つところにあることが多いですが、14世紀に建てられたというコネリアーノのドゥオモは、人通りのない道に面して静かに佇んでいました。

コネリアーノのドゥオモ
コネリアーノのドゥオモ

どこにドゥオモがあるのかわからず、周辺をうろうろしましたが、その美しさからドゥオモだということがわかりました。

内部もひっそり。

コネリアーノのドゥオモ内部
コネリアーノのドゥオモ内部

ワイナリーもコネリアーノの村の中心地も見ることができ、大満足の1日でした。

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