ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2020年ヴィンテージの先行試飲会(2024年11月)
イタリアが世界に誇る赤ワイン、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。2025年1月にリリースされる2020年ヴィンテージの先行試飲会ベンヴェヌート・ブルネッロが、2024年11月14日~18日にモンタルチーノでおこなわれました。
イタリアはもちろん世界各国からワイン業界関係者やワインラヴァーが集まる一大イベントです。
今回は、その試飲会の様子を現地からお届けします。
ベンヴェヌート・ブルネッロ2024
イタリアはトスカーナのモンタルチーノで造られる偉大な赤ワイン、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。毎年、リリースに先立って試飲会ベンヴェヌート・ブルネッロがおこなわれます。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、収穫年から5年後にリリースされるワインですから、2025年には2020年がリリースされます。
今回2024年11月のイベントは、2025年1月にリリースされる2020年ヴィンテージのお披露目となります。
2020年といえば、コロナ真っ只中。コロナの困難を乗り越えて造られたブルネッロです。もちろん天候にコロナは関係ありませんが、働く人にとっては多くの問題があった年だったでしょう。
2020年の天候はといえば、気温が高い年でした。夏は暑く、降水量が少なかったですが、9月に気温が下がり降水量が多くなりました。10月は、平均より気温が高く、頻繁に雨が降ったということで、気候変動の影響を受けた年、そして、収穫の時期を見極めるのが重要な年だったといえます。
コロナ以前のイベントは、生産者ブースが設置され、歩きながら試飲するスタイルでした。しかし、コロナ以降、着席での試飲に変更されました。それが今年、コロナ以前のスタイルに戻り、生産者ブースを回り自由に試飲できることになりました。再び生産者と話ができるスタイルになり、うれしい限り。
ソムリエやワインラヴァーにとっては、生産者とのコミュニケーションとコミュニケーションできる絶好の機会。
多くの生産者も「やっとウォーク・アラウンド型に戻った。このほうがいい」と言っていました。生産者側にとっても、消費者とのコミュニケーションは大切ですよね。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの試飲
会場は、モンタルチーノの街の中にあるサンタゴスティーノ教会の回廊。
今年は、127の生産者がブースを出していました。
入場したら、早速グラスを持ち試飲開始。
いくつか試飲すると、そのヴィンテージの傾向がわかってきます。
2020年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、いまからおいしく飲むことができる一方で長期熟成させることができるエレガントな味わいという印象を受けました。
ここ数年、重厚でパワフルな味わいが続いていたので、2020年ヴィンテージは個人的にはとても好きな味わいでした。
モンタルチーノは、北と南で味わいが異なることも特徴のひとつで、北はなめらかで、南は果実味たっぷりという傾向があります。ここ数年、その違いがあまり大きく出ていなかったように思いますが、2020年ヴィンテージは北と南の違いがはっきりと感じられました。その意味でも、モンタルチーノらしくて好きなヴィンテージでした。
以下、試飲してよかったものをご紹介します。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2020
カナリッキオ・ディ・ソプラ
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・ヴィーニャ・モントーゾリ2020は、特にすばらしかった!フサスグリのような香りとバルサミックな香り、スパイスの香りで、口に広がるスケールが絶大で、長い余韻によいしれる。
カスティリオン・デル・ボスコ
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・カンポ・デル・ドラゴ2020は、美しい酸味とダイナミックな味わい。
カパルツォ
カパルツォのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・ラ・カーザ2020は、ハーブやスパイスの香りで、奥深い味わい。
レ・キューゼ
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2020は、森の香り、果実の香りが豊かで、力強い味わいながらもフレッシュ感あり。
ポデーレ・レ・リーピ
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・アモーレ・エ・マジア2020は、森の土や木々、ハーブの香り。うま味、滋味があり、自然のパワーが感じられる。
サルヴィオーニ
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2020は、熟した果実の香りと味わいで、重厚感のある味わい。
テヌータ・ディ・セスティ
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・コスタ・ディ・モンテ2020は、果実あふれる香りとバルサミックな香り、バランスのとれた味わい。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・リゼルヴァ2019
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・リゼルヴァは2019年ヴィンテージです。2019年は、熟した果実味としっかりしたタンニンのあったヴィンテージで、リゼルヴァになるとそのすばらしさが際立っていました。
バンフィ
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・ポッジョ・アローロ・リゼルヴァ2019は、アロマ高く、とにかく余韻が長い。
フランコ・パチェンティ
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・リゼルヴァ2019は、果実とスパイスが重なり合う香り。味わいは奥行きがあり、クラシックで複雑な味わい。
ポッジョ・ディ・ソット
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2020もすばらしかったのですが、リゼルヴァ2019はさらにすばらしく、厳粛で偉大さがありながら、なめらかでジューシー。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのトピック
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、輸出に占める割合が多く、特にアメリカは重要な市場です。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生産の約30%はアメリカで消費されているとのことで、今回の話題は、もっぱらアメリカの関税について。次期大統領になったら関税はどうなるのか?ニュースでも取り上げられていました。
話を聞いてみると「ブルネッロのブランド力があれば大丈夫だろう」というポジティブな生産者と「どうなるか様子をみよう」と心配を隠せない生産者がいました。
気候変動やアメリカの関税、生産者は変化に対応していかなくてはいけない情勢下。
消費者としては、ブルネッロはやはり特別なワイン。モンタルチーノという天から与えられた恵みから生まれる産物を生産者の想いを受け取りながらゆっくりと味わいたいと思います。