【2023年版】 イタリアワイン ロンバルディア州のDOCG

【2023年版】 イタリアワイン ロンバルディア州のDOCG

今回は、イタリアのロンバルディア州のDOCG(統制保証原産地呼称)ワインをご紹介します。

ロンバルディア州は、イタリアの北西部に位置し、州都はミラノ。

ファッションの都市、イタリアのビジネスの中心、そして観光都市であるミラノですが、ロンバルディア州はブドウ栽培に適した気候になっています。

ミラノ
(ミラノの大聖堂↑)

イタリア、ロンバルディア州のワインとは

イタリアロンバルディア州DOCG

イタリアのロンバルディア州は、北はスイスと国境を接し、アルプス山脈がそびえています。この山岳地帯は、ヴァルテッリーナと呼ばれ、渓谷が広がっています。

一方、南には、イタリアで最も広い平野ポー平野が広がっていて、イタリア最長の川ポー川が流れています。

また、イタリアで最も大きな湖ガルダ湖や、リゾート地として有名なコモ湖やイゼオ湖など、多くの湖があります。湖周辺では、マイクロ・クライメット(微気候)の環境になっています。

ロンバルディア州は、山岳地帯が41%、丘陵地帯が12%、平野が47%で、多様な地形ゆえ、ワインもバラエティーに富んでいます。

ロンバルディア州のDOCGワインは5つです。

イタリアワイン、ロンバルディア州のDOCG一覧リスト

(アルファベット順)

フランチャコルタ Franciacorta

フランチャコルタは、イタリアのシャンパーニュともいわれる上質なスパークリングワインで、ミラノの東約100キロのところにあるイゼオ湖周辺で造られています。

フランチャコルタのブドウの栽培面積は、約3,200ヘクタール。シャンパーニュの34,000ヘクタールに比べると10分の1ほどです。

フランチャコルタは、イタリアの格付けの中でオーガニック栽培の割合が一番高く、フランチャコルタの3分の2の畑でオーガニック栽培がおこなわれています。

フランチャコルタのカテゴリーは5つあり、ブドウ品種と熟成期間が異なります。

フランチャコルタ
フランチャコルタ・ロゼ
フランチャコルタ・サテン
フランチャコルタ・ミレジマート
フランチャコルタ・リゼルヴァ

フランチャコルタのブドウ品種は、シャルドネ、ピノ・ネロが主体で、ピノ・ビアンコを50%まで、エルバマットを10%まで使用することができます。
フランチャコルタの熟成期間は最低18か月です。シャンパーニュの熟成期間は最低15か月ですから、それより長いことになります。

フランチャコルタ・ロゼでは、シャルドネが65%まで、ピノ・ネロが最低35%となっており、ピノ・ビアンコを50%まで、エルバマットを10%まで使用することができます。
フランチャコルタ・ロゼの熟成期間は最低24か月。

フランチャコルタ・サテンでは、シャルドネが最低50%、ピノ・ビアンコが50%までとなっています。
フランチャコルタ・サテンの熟成期間は最低24か月。

フランチャコルタ・ミレジマートは、単一年の収穫年のブドウで造られたもので、最低85%が単一年の収穫年のブドウとされています。
フランチャコルタ。ミレジマートの熟成期間はフランチャコルタ、ロゼ、サテンのいずれも最低30か月です。

フランチャコルタ・リゼルヴァの熟成期間は、フランチャコルタ、ロゼ、サテンのいずれも最低60か月です。

フランチャコルタは、柑橘系のフルーツ、桃やリンゴ、洋梨の香りがあり、ナッツ類とトーストしたパンのニュアンスがあります。さわやかでありながらアロマの広がる味わいです。食中酒として楽しむことができ、魚料理から肉料理まで、幅広い料理に合わせることができます。

フランチャコルタ・ロゼは、ラズベリーやミックスベリーの香りが広がり、ストラクチャーのあるバランスのとれた味わいです。リゾットやジェノヴェーゼペーストなど風味豊かな味わいの料理に合います。

フランチャコルタ・サテンは、白い花、桃やリンゴなどの果実の香り、アーモンドやヘーゼルナッツ、バターやバニラのニュアンスがあります。酸味と塩味(えんみ)が感じられるフレッシュな味わいで、より繊細な味わいの料理に合います。魚介の前菜や魚介料理全般に合わせることができます。

フランチャコルタ・ミレジマートとフランチャコルタ・リゼルヴァは、より複雑な味わいで洗練された味わい。合わせる料理もより複雑な料理に合わせることができます。

フランチャコルタのおすすめワイン

ベッラヴィスタ フランチャコルタ アルマ グラン キュヴェ ブリュット
フランチャコルタの名門ワイナリー、ベッラヴィスタ。フランチャコルタを代表する造り手のフランチャコルタはぜひ飲みたい1本。

フェルゲッティーナ フランチャコルタ・ロゼ
フェルゲッティーナは、ベッラヴィスタで長年醸造責任者を務めていたロベルト・ガッティ氏が立ち上げたワイナリーで、ロベルト氏がこだわりぬいたフランチャコルタを造っています。

フェルゲッティーナのフランチャコルタ・ロゼは、ピノ・ネロ100%で造られ、ふくよかな味わい。おしゃれなミラノを思わせるハイセンスなボトル・デザインもステキです。

モンテ・ロッサ フランチャコルタ・サテン サンセヴェ
フランチャコルタ・サテンは、「サテン」という名の通り、エレガントな味わい。『ガンベロ・ロッソ』年間最優秀スプマンテを受賞したこのあるモンテ・ロッサのフランチャコルタ・サテンは、繊細でやわらかな味わいです。

フランチャコルタの魅力を感じたい人にオススメの1本です。

カ・デル・ボスコ フランチャコルタ・ミレジマート ヴィンテージ・コレクション エクストラ・ブリュット
フランチャコルタのリーダー的存在である生産者カ・デル・ボスコのフランチャコルタ・ミレジマート。収穫したブドウを水洗いしてから醸造するという画期的な方法を採用したことで有名でもあります。洗浄されたブドウを使用することでとすることで、SO2の量を極限まで少なくすることに成功しました。

モスカート・ディ・スカンツォ(またはスカンツォ) Moscato di Scanzo (Scanzo)

モスカート・ディ・スカンツォは、ミラノの北東にあるベルガモ県スカンツォロシャーテ市の一部で造られている甘口の赤ワインです。

土着品種であるモスカート・ディ・スカンツォ100%で造られるパッシートです。
パッシートとは、ブドウを陰干ししてから醸造される甘口ワインのことです。

陰干しの期間は、21日間を下回ってはならず、熟成期間は最低2年です。
できあがるワインの量は、多くてもブドウの30%と定められています。

色調は濃いルビーレッドで、チェリーのシロップ漬けや熟したベリー系の香り、スパイス香があり、余韻の長い深みある甘味で、酸味も感じられます。また、後味に少しアーモンドのような苦味も感じられます。

モスカート・ディ・スカンツォは、デザート全般とペアリングすることができます。特に、フルーツのタルト、アーモンドやチョコレートを使った焼き菓子がとても合います。

熟成の長いチーズに合わせることもできます。

オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ Oltrepo’ Pavese metodo classico

オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコは、ロンバルディア州の南西部のパヴィア県で作られているスパークリングワインです。

オルトレポとは、ポー川の向こう側(オルトレ(向こう)、ポ(ポー川))という意味で、ポー川の南側の地域をいいます。
ポー川は、北イタリアを横断する、イタリアで最も長い川です。

オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコは、シャンパーニュ製法(瓶内二次発酵)で造られるスパークリングワインで、白とロゼがあり、以下の4つのカテゴリーがあります。

オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ
オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ・ロゼ
オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ・ピノ・ネロ
オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ・ピノ・ネロ・ロゼ

オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコとオルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ・ロゼのブドウ品種は、ピノ・ネロが最低70%、シャルドネ、ピノ・グリージョ、ピノ・ビアンコ(単独または合わせて)が30%までとなっています。

オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ・ピノ・ネロとオルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ・ピノ・ネロ・ロゼのブドウ品種は、ピノ・ネロが最低85%、シャルドネ、ピノ・グリージョ、ピノ・ビアンコ(単独または合わせて)が15%までとなっています。

熟成期間は、最低15か月と定められています。
単一年に収穫されたブドウで造られるミレジマートの熟成期間は、24か月となっています。

バラのようなフラワリーな香り、クロワッサンやナッツ、バニラのニュアンスがあり、フルーティーさがしっかりと感じられる味わい。
きめ細かい泡立ちで、余韻のある上品な味わいです。

ペアリングの料理は、魚介料理全般で、甲殻類と特に相性がよいです。

前菜からパスタ、メイン料理まで、どんな魚介料理にも合わせることができ、食前酒として、食中酒として、楽しむことができるスパークリングワインです。

オルトレポ・パヴェーゼのおすすめワイン

オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコは、フランチャコルタに比べると知名度が低いですが、瓶内二次発酵のスパークリングワインとして、これから注目を集めるのではないかとイタリアではいわれています。日本ではあまり流通していませんが、これから増えていくとよいと思っています。

これから注目されるかもしれないオルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ、飲んでみたいかたはぜひトライしてみてください。

テヌーテ・トナリーニ オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ ミレジマート

テヌーテ・トナリーニ オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラシコ・ロゼ

スフォルツァート・デッラ・ヴァルテッリーナ(またはスフルサート・ディ・ヴァルテッリーナ) Sforzato della Valtellina (Sfursat di Valtellina)

スフォルツァート・デッラ・ヴァルテッリーナは、ロンバルディア最北部、スイスと国境を接するヴァルテッリーナ地方、ソンドリア県で、アパッシメント(収穫後のブドウを陰干し)をして造られる赤ワインです。

「スフォルツァート」とは「強制された」というイタリア語で、手を加えて糖度やアルコール度を高めたことを意味します。

スフォルツァート・デッラ・ヴァルテッリーナのブドウ品種は、ネッビオーロ(この地方ではキアヴェンナスカと呼ばれる)が最低90%となっています。
ロンバルディアで栽培されたノン・アロマティックな黒ブドウを10%まで使用することができます。

陰干しされたブドウは、収穫年の12月10日以降に醸造することができます。(年によっては翌年1月まで、さらには2月、3月まで陰干しすることもあります。)

陰干しすることで、ブドウの水分が約30%失われ、糖度が高くなります(収穫時の熟したブドウの糖度は18~20%で、陰干し後の糖度は最大で26~27%になります)。

熟成期間は最低20か月で、そのうちの12か月は木樽での熟成が義務付けられています。

アルコール度数は、最低14%となっていています。

スフォルツァート・デッラ・ヴァルテッリーナは、熟したベリー系の果実の香りがしっかりと感じられ、リコリスやスパイス香も感じられます。しっかりしたストラクチャーで、まろやかな味わい。

スフォルツァート・デッラ・ヴァルテッリーナに合う料理は、ジビエ料理や長時間煮込んだ肉料理。味の強いチーズも相性バツグンです。

スフォルツァート・デッラ・ヴァルテッリーナのおすすめワイン

あまり見かけることのないスフォルツァート・デッラ・ヴァルテッリーナですが、非常にエレガントなワインです。
イタリアワイン好きならぜひ飲んでみたいワインのひとつ。

サンドロ・ファイ スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ ロンコ・デル・ピッキオ

ヴァルテッリーナ・スペリオーレ Valtellina Superiore

ヴァルテッリーナ・スペリオーレは、ロンバルディア最北部、スイスと国境を接するヴァルテッリーナ地方、ソンドリア県で造られる赤ワインです。

ヴァルテッリーナ・スペリオーレは、ソンドリオ県のアッダ川の周辺で造られます。
アッダ川は、アルプス山脈から流れ、コモ湖に注ぐ川です。

ヴァルテッリーナ・スペリオーレのブドウ品種は、ネッビオーロ(この地方ではキアヴェンナスカと呼ばれる)が最低90%となっています。
ロンバルディアで栽培されたノン・アロマティックな黒ブドウを10%まで使用することができます。

熟成期間は、最低24か月で、そのうちの最低10か月は、木樽熟成が義務付けられています。

また、ヴァルテッリーナ・スペリオーレ・リゼルヴァの熟成期間は、3年です。

スミレやミックスベリーの香りがしっかりと感じられ、シルキーな口当たりで、まろやか味わい。余韻が長く、エレガントな味わいです。

合わせる料理は、ジビエ料理がぴったりです。
長時間煮込んだ肉料理も相性バツグンです。
この地方では、郷土料理のピッツォッケリ(そば粉を使ったパスタで、バターとチーズをたっぷりかけた料理)を合わせたりもします。

ヴァルテッリーナ・スペリオーレ のおすすめワイン

ニーノ・ネグリ マゼール ヴァルテッリーナ・スペリオーレ
イタリアの権威あるワインガイド誌『ガンベロ・ロッソ』の最高評価であるトレ・ビッキエーリを何度も受賞している生産者ニーノ・ネグリが造るヴァルテッリーナ・スペリオーレは、凝縮した果実が感じられ、なめらかな口当たり。しっかりとした骨格のワインで、上品な余韻があります。
ヴァルテッリーナ・スペリオーレを飲みたいかたはぜひ試してほしいオススメのワインです。

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