春の温かい気候の5月、イタリアのスパークリングワイン、プロセッコを求めてヴェネト州のヴァルドッビアーデネとコネリアーノに行ってきました。
そのときの様子を、ヴァルドッビアーデネ、コネリアーノに分けて書いていきます。
まずは、ヴァルドッビアーデネの旅行記です。
プロセッコとは
旅行記の前に、プロセッコとは何かを簡単にご紹介します。
プロセッコとは北イタリアのヴェネト州とフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州で造られているスパークリングワイン。世界で一番生産されているスパークリングワインで、年間生産量は約6億本にのぼります。
プロセッコとひとことでいっても、生産地が広いため、複数のDOC(統制原産地呼称)とDOCG(統制保証原産地呼称)があります。
● 薄い黄緑色の広い地域がプロセッコDOC
● 真ん中あたりのTREVISOを含むエリアがプロセッコ・DOCトレヴィーゾ
● VALDOBBIADENEとCONEGLIANOを含む黄緑色の狭い範囲がプロセッコ・スペリオーレ・ヴァルドッビアーデネDOCG
● さらにその中の黄色い小さな部分がプロセッコ・スペリオーレ・ディ・カルティッツェ・ヴァルドッビアーデネDOCG
● ASOLOの濃い緑色の部分がプロセッコ・スペリオーレ・アゾロDOCG
これらの格付けは、プロセッコのボトルのエチケットに記載されていますので、どの格付けなのかを確認してから購入することができるということになります。
ヴァルドッビアーデネとコネリアーノのエリアは、2019年に「コネリアーノとヴァルドッビアーデネのプロセッコ栽培丘陵群」として世界遺産に登録されました。
ヴァルドッビアーデネのワイナリー訪問 ヴィッラ・サンディ
今回の旅の目的は、DOCGのプロセッコと世界遺産の丘です。
ヴァルドッビアーデネのエリアの中にあるカルティッツェは小さなゾーンなため、カルティッツィエのプロセッコはプレミアム感があります。
カルティッツェのプロセッコDOCGを造っている生産者を訪問しようと、ヴィッラ・サンディに行きました。
ヴィッラ・サンディは、プロセッコ全域の畑を所有していて、セラーはヴァルドッビアーデネから8キロほど南に位置しています。
ヴィッラ・サンディは、家族経営のワイナリーということもあり、ファミリーの歴史の説明から見学は始まりました。
家族経営といっても大企業で、年間6000万本のワインを生産しています。数字を聞き間違えたかと思うほどの規模にびっくりしました。トスカーナでは100万本でも大きなワイナリーといえるのに、6000万本とは桁が違います。さすが、世界一の生産量を誇るプロセッコ。
美しいヴィッラ(邸宅)と地下にある広いセラーからは、代々引き継がれたファミリーの権力の大きさが見て取れました。
プロセッコは、たいてい大きなタンクで二次発酵がおこなわれます(シャルマ方式)。一方、フランスのシャンパーニュは瓶内で二次発酵される製法です。
ヴィッラ・サンディでは、タンクで二次発酵されるプロセッコと、瓶内二次発酵のスパークリングワインを造っています。
地下のセラーでは、瓶内二次発酵のスパークリングワインのボトルがねむっていて、見学は瓶内二次発酵にフォーカスした内容でした。
瓶内二次発酵のほうが製造に手間がかかるため、タンクで二次発酵させるシャルマ方式より、見学としては興味深い内容になるのはわかります。でも、個人的には、プロセッコのシャルマ方式の大きなタンクを見たかったので、「プロセッコはどこで造っているのですか?」と質問したところ、「隣の建物で造っています」とのことで、隣の建物の見学はありませんでした。
地下のセラーは、トンネルのようになっています。ヴィッラの床が抜けたときに(!)、地下に第一次世界大戦ときに使われていた約1.5キロにおよぶトンネルが発見されたそう(!)で、それをセラーとして使用しているとのこと。
ずっとボトルが並べられていて、その量に圧倒されました。
赤ワインが熟成されている木樽もありました。
広い敷地を歩いて回った見学はたっぷり1時間。ちょっと歩き疲れてきたかなと思ったタイミングで試飲タイムになりました。
まずはプロセッコ・スペリオーレ・ヴァルドッビアーデネDOCGミレジマート。
スパークリングワインは複数の収穫年のワインをブレンドして造られることが多いですが、特定の年に収穫されたブドウのみを使用して造られたものはミレジマートと呼ばれ、エチケットに収穫年が記載されます。
ヴィッラ・サンディのプロセッコ・スペリオーレ・ヴァルドッビアーデネDOCGミレジマートは、リンゴの香りや白い花の香りが華やかで、フルーティーさが心地よい味わい。
生産量が多いだけに日本にも入っています。コレ↓↓↓↓
普段、プロセッコは、カジュアルなシーンや乾杯時に飲むことが多く、じっくりとテイスティングをしたことがありませんでした。外観、香り、味わいをじっくりみた試飲タイムでは、プロセッコのおいしさを再発見できた気がして、とてもよかったです。
次に試飲したのは、瓶内二次発酵のオペレ。
プロセッコのブドウ品種は85%以上がグレラでなくてはならないと定められていますが、このオペレはシャルドネとピノ・ネロのブレンドのワインのため、プロセッコではありません。
泡立ちはきめ細やかで、深みのある味わい。これが、地下トンネルのセラーで眠っていたワインかと思うと、ありがたみがあります。
カルティッツェのプロセッコは試飲できなかったため、購入。家で飲むのが楽しみです。
世界遺産のプロセッコ栽培丘陵を見に行く
カルティッツェの丘を見たかったので、見学・試飲のあと、カルティッツェに向かいました。
ヴィッラ・サンディのセラーの周辺は平たんな土地でしたが、カルティッツェはブドウ畑が横たわる丘陵が広がっていました。
ここはまさに世界遺産の「コネリアーノとヴァルドッビアーデネのプロセッコ栽培丘陵群」。
5月で、葉がぐんぐんと伸びて、ブドウの房も出始めている時期でした。
世界遺産になっているだけあり、やはり美しい丘陵。
写真で見るとなだらかな丘陵という感じですが、実際に見ると丘が目の前に迫ってくるような斜面でした。
少し曇っていましたが、カルティッツェの丘を見ることができて大満足。
次回は、コネリアーノの旅の様子をお届けします。